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国債投資の戦略:大きな利益を狙うときと利益を超えた価値を追求するとき

国債投資の戦略:大きな利益を狙うときと利益を超えた価値を追求するとき

国債とは、財源が不足したときに、国が投資家から資金を集めるために発行する借用証書(債券)のことです。

国債は、元本割れのリスクが低く、価格の変動も小さいことから、景気が悪くなっても価値が失われにくい「安全資産」です。

低リスク・低リターンのため、株式や不動産などのリスク資産とは異なる役割を担います。ただ、その本質は安心安全に投資できることではありません。

国債はキャピタルゲイン戦略によって大きな利益を得られ、ポートフォリオ戦略によって運用益を得る以上の価値を示せるのです。

上記2つの投資戦略を紹介しますので、失敗しない投資の判断材料とするために、ぜひ本記事をお読みください。

目次

大きな利益が見込めるとき:キャピタルゲイン戦略

国債で大きな利益を狙えるのが、キャピタルゲイン戦略です。

キャピタルゲインとは、株式や不動産などの資産を、購入時より高く売った際に得られる売却益を指します。

本章では、キャピタルゲインにより大きな利益を得られるメカニズムとして「金利と国債価格の関係」と「外国国債による為替差益の活用」を紹介します。

市場金利と国債価格の関係

市場金利と国債価格の関係
市場金利と国債価格の関係

市場金利が低下すると、すでに発行されている高利回りの国債は、他の国債より有利な条件で利息を受け取れるため、投資家の需要が高まり市場価格が上昇します。

そのため、国債を保有していた投資家は高値での売却が可能です。

ただし、もともとの利回りが低い国債は、市場金利の低下による恩恵がほとんどないため、価格の上昇幅も相対的に小さくなるのです。

一方、市場金利が上昇すると、新発国債のほうが高い利息を得られるようになるため、既発国債の魅力が低下し、市場価格は下落します。

とくに利回りの低い国債ほど価格下落の影響を受けやすくなります。国債を売却する際の行動ポイントは次のとおりです。

ポイント概要
タイミング・中央銀行の金融引き締めの終了が見られた時期
・景気後退による利下げ期待が高まる時期
行動デュレーション(国債価格の変動率)が長い長期国債を購入し、金利が下がった段階で売却する
注意点長期国債は値動きが大きいため、利益も損失も大きくなる場合がある

外国国債による為替差益の活用

キャピタルゲインにより大きな利益が見込める手段は、外国国債への投資です。

日本より高金利の国債に投資して、インカムゲイン(利子収入)を得ながら、利下げしたタイミングでキャピタルゲインを狙う手法です。

円安時に外貨建ての国債を売却すると、為替差益により利益が拡大します。ただし、円高になると為替損失が発生するため、為替動向を見極めて売却する必要があります。

利益を超えた価値を追求するとき:ポートフォリオ戦略

国債の金利が低い、またはマイナスでも、投資家は資産全体の安定性とリスク管理のために国債を保有します。

本章では投資家が国債を保有する理由を以下の3つを紹介します。

  • 安全性の確保(リスクコントロール)
  • 分散効果とヘッジ機能
  • 流動性の確保(キャッシュ代替)

1. 安全性の確保(リスクコントロール)

国債に投資すると、株式市場が暴落したり景気が悪化したりしても、価値が安定しやすく、資産の減少リスクを抑えられます。

市場が不安定なときでも、安全資産としての需要が高まり価格が上昇しやすいためです。

また、自国通貨建て国債は、政府が自らの通貨で返済できるため、デフォルト(債務不履行)のリスクがもっとも低いとされています。


とくに個人向け国債は、最低金利が保証されており、発行から1年経てば原則として額面で中途換金が可能です。

2. 分散効果とヘッジ機能

国債の最大の強みは、株式との相関が低い点です。

株式市場が下落すると安全資産である国債が買われやすく、価格が上昇する傾向にあるためです。ポートフォリオに国債を組み入れると、資産全体の値動きを安定させリスクを分散できます。

また、定期的なリバランスを行うことで、価格が上昇した国債を一部売却し、値下がりした株式を割安なタイミングで買い増せるようになります。

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株式の下落による損失を一部相殺する役割があるため、長期的な資産価値の下落を抑えられるようになるでしょう。

3. 流動性の確保(キャッシュ代替)

国債は満期保有で元本が保証されるため、キャッシュの代替資産としても機能します。

将来、不動産の購入や大きな納税をする際に、必要になる資金を国債で保有しておくと、リスクを抑えながら安全に守ることが可能です。

また、金融機関の預金保護制度(ペイオフ)は、1,000万円+利息が上限です。ただし、国債ならば1,000万円を超える金額を安全に確保できます。

まとめ

国債は「低リスク・低リターン」というイメージを持たれがちです。しかし、市場環境と戦略次第では、攻守両面の価値を発揮します。

キャピタルゲイン戦略金利や為替の変動により高リターンを狙う
ポートフォリオ戦略リターンは低いが安全や分散、保険などの効果がある
国債を使った攻守両面の価値

プロフェッショナルな資産運用において、国債は単なる「利息を生む商品」ではなく、ポートフォリオを支える戦略的ツールです。

投資目的と環境を見極め、国債の2つの役割をバランスよく利用することが、安定的な資産形成につながります。

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監修者

1981年生まれ。2009年に保険業界へ転身し、2013年に証券外務員資格を取得。あいざわ証券・SBI証券のIFAとして活動後、2016年にエストニアで起業し金融商品仲介業を取得。2020年に日本でセミナー会社を設立、投資教育事業を展開。2023年、日本金融庁より投資助言業を正式に登録し、海外金融に携わり続けている。今では全国・世界各地の個人投資家にアドバイスを行い、クライアント数は約1万人にまで拡大。

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