2025年はAI銘柄を手放してでも「金」に投資する流れが強まりました。
Ninomiya毎週、米国株を中心としたグローバルマクロ分析を続けていますが、トランプ政権の不安定さを察知した2月以降、ポートフォリオの約60%を金に組み入れています
そこで本記事では、週次ではなく年初からの金相場の動きを整理して解説します。
年初来の金のETF価格の振り返り
SPDRゴールド・シェアの株価チャートを確認すると、金(1326.T/SPDRゴールド・シェア)は、2025年1月から10月にかけて約52%上昇しました。
2025年1月から10月までのチャート(ETF)の主な動きは次のとおりです。


| 時期 | 主な動き(1口=約3.1gあたりの価格) | 補足 |
|---|---|---|
| 1月 | 約38,310円 | 安値圏で落ち着いた動き |
| 3月 | 約42,000円 | 米金利低下や円安進行が影響 |
| 6月 | 約48,000円 | 地政学リスクの高まりで買い需要が拡大 |
| 8月 | 約55,000円 | 投資資金が金に流入し上昇加速 |
| 10月 | 約58,300円 | 上昇トレンドを維持(+52%) |
金のETF価格は1月に約38,000円から始まり、10月には約58,000円へと大幅に上昇しました。
また、為替レートやETFの信託報酬などによりチャートの数値と差はありますが、金は1gあたり20,000円を超える水準に到達し、上昇トレンドを維持しています。
戦争や国際対立など国の地理と政治が関係して起こるリスクのこと。このリスクが高まると投資家は不安から金や米国債といった安全資産に資金を移し、金価格が上昇しやすくなる。
金のETF価格が約52%も上昇した理由
金が2025年1月年初から10月にかけて約52%も上昇した理由を2つ解説します。
- 世界情勢が不安定で安全資産の金が買われた
- 円安が円建ての金価格を押し上げた
1. 世界情勢が不安定で安全資産の金が買われた
ウクライナや中東の紛争が長期化し、政治リスクが世界的に高まっています。また、アメリカや中国など主要国の経済も先行きが見通しにくい状況です。
上記のような「不安定な時代」には、投資家が紙幣よりも実物資産を選ぶ傾向が強まります。
「有事の金(Safe Haven Asset)」という言葉のとおり、信用リスクが低い金が「安心できる資産」として世界中で買われ、価格上昇を支えています。
2. 円安が円建ての金価格を押し上げた
金の取引は米ドルで行われるため、日本で買う場合は円を両替する必要があります。
2022年からは急速な円安ドル高が進み、2025年には一時1ドル=150円を超えました。つまり円を米ドルに両替した場合、支払う金額が増えます。
| 為替レート | 100ドル分の金を円で買う場合 |
|---|---|
| 1ドル=110円 | 100ドル × 110円 = 11,000円 |
| 1ドル=150円 | 100ドル × 150円 = 15,000円 |
100ドルの金を購入する場合でも、円安(110円→150円)になると、日本円で支払う金額は4,000円多くなります。
ドル建て価格が変わらなくても、円安が進むだけで円建て金価格は上がります。「円安効果」が、2025年の金相場の上昇を加速させた最大の要因です。
今後の金のETF価格を左右する3つのポイント
今後の金相場を見通すうえで重要となる注目ポイントは次の3つです。
| 注目ポイント | 内容 |
|---|---|
| 1. 世界情勢の安定化 | 紛争緩和による有事需要の縮小 |
| 2. アメリカの金利政策 | Fed(米連邦準備制度)による金融緩和の影響 |
| 3. 円高・円安の動き | 円高進行による価格下落、円安継続による上昇圧力 |
上記の3点を定期的にチェックすると、今後の投資判断が立てやすくなります。
まとめ
2025年の金相場が急上昇した要因は「世界の不安定さ」と「歴史的な円安」が重なった結果です。
金は資産を分散させるうえで有効な選択肢ですが、短期的な値動きもあります。そのため、世界情勢や為替の動きを冷静に見ながら判断することがポイントです。
今回の情報があなたの投資判断に少しでも役立てば幸いです。以下の週次レポートでは、ゴールドが史上最高値を記録したことに触れておりますので、あわせてご覧ください。






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