金先物取引は、実物の金を保有せずに「将来、金をいくらで売買するか」を予測する取引です。
金の価格変動だけで売買できます。たとえば「3ヶ月後に金を〇〇円で買う」と決めておき、実際の価格との差で利益や損失が決まる仕組みです。
少ない資金で大きな取引が行えるため、利益も損失も大きくなりやすいハイリスク・ハイリターンの投資方法といえます。
本記事では、金先物取引の基本的な仕組みや取引方法、日本で取引される3種類の金先物について、わかりやすく解説します。
金先物取引の基本
金先物取引は、将来の特定の日に金をいくらで売買するかを、あらかじめ決めておく投資方法です。
投資家は金の値動きを予測し、買い(ロング)または売り(ショート)のポジションを取ります。
実物の金を受け取るのではなく、満期までに反対売買(買い→売り、または売り→買い)を行い、その価格差が利益や損失になります。
たとえば、1g=6,000円のときに1kg分の契約を結ぶと、総額600万円相当の取引になりますが、必要な資金は証拠金(20〜25万円ほど)だけです。
このように少ない資金で大きな金額を動かせる「レバレッジ取引」を行うことが可能です。
金先物取引の目的
金先物取引の目的は大きく以下の2つです。
| 目的 | 内容 |
|---|---|
| 価格変動リスクのヘッジ | 企業や資産家が将来の金価格の変動による損失を防ぐために行う |
| 投機(トレーディング) | 価格の上昇や下落を狙って利益を得るために行う |
金先物取引は、資産を守るために使うのか、利益を狙いにいくのかで活用方法が大きく変わります。
二宮利徳この違いを理解することが、リスク管理や戦略立案の第一歩です。
取引方法の流れ
金先物取引の流れは以下の3ステップです。
現物受渡しを希望する場合は、納会後(最終取引日)に金地金として受け取ることが可能です。(標準先物のみ)
- 買い建て:将来、金の価格が上がると予想して「安く買って高く売る」ことを狙う
- 売り建て:将来、金の価格が下がると予想して「高く売って安く買い戻す」ことで利益を得る
日本で取引される3種類の金先物
日本では、大阪取引所を中心に、金標準先物・金ミニ先物・金限日先物の3種類が取引されています。
それぞれ取引単位と決済方法が異なり、投資スタイルに応じて選択が可能です。
| 種類 | 取引単位 | 決済方法 | 特徴・向いている人 |
|---|---|---|---|
| 金標準先物 | 1kg | 現物受渡し・差金決済 | 基本的な金先物。現物受渡しができ、プロの投資家や企業が利用する。価格変動による利益を狙う上級者向け手法。 |
| 金ミニ先物 | 100g | 差金決済のみ | 小口サイズで少額投資が可能。初心者でもレバレッジ取引を行える。 |
| 金限日先物 | 100g | 差金決済 | 有効期限のない金先物。流動性があり中期~長期の運用に最適。 |
現物受渡しは、実際に金の延べ棒(インゴット)を受け渡して取引を完了する方法です。差金決済は、金そのものを受け渡さず、売買の差額だけをお金でやり取りする方法です。
なお、金の取引については「ネット証券で始める金投資!円の価値を守る最もシンプルな方法」で詳しくまとめておりますので、あわせてご覧ください。
まとめ
金先物取引は、価格変動のリスクを回避したり、利益を狙ったりするときに活用される投資手法です。
ただし、証拠金を使ったレバレッジ取引のため、大きな損失が生まれる恐れがあります。
まずは取引単位が小さい金ミニ先物などを利用し、証拠金管理・価格変動リスク・決済ルールを理解しながら段階的に進めることが重要です。
自分の投資目的とリスク許容度を明確にしたうえで、無理のない範囲で取引を行いましょう。





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