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金価格暴落の原因と今後の投資戦略(10/21〜10/22)

金価格暴落の原因と今後の投資戦略(10/21〜10/22)

2025年10月21〜22日にかけて、金価格は過去10年で最大級の急落を記録しました。

これは急騰後の利益確定売りや米ドル高、米中関係の改善ムードなど、複数の要因が絡み合った結果です。

本記事を読むと、金価格暴落の原因がわかり、今後の市場動向の予測や投資戦略を把握できます。

金投資を検討している方や、急落後の調整局面でどう行動すべきか悩んでいる方に向けて、今後の投資判断に役立つ情報をまとめました。

次のチャンスを逃さないためにも、ぜひこの記事を最後までご覧ください。

目次

金市場の現状

2025年10月26日現在、金市場は急激な価格調整局面に突入しました。

金価格の変動が起こった背景には、主要な直接要因と背景にある構造的要因の2つがあると考えています。

スクロールできます
主要な直接要因・急騰後の利益確定売り
・米ドル高の進行
・米中関係の改善ムード
背景にある構造的要因・過剰流動性と投機資金の集中
・地政学リスクやインフレ懸念の反動減

今後の市場動向を予測するには、2つの原因を理解する必要があります。

なお、金価格の上昇については週次レポートで詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

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主要な直接要因

金価格急落の主要な直接要因は以下の3つです。

  • 急騰後の利益確定売り
  • 米ドル高の進行
  • 米中関係の改善ムード

急騰後の利益確定売り

2025年初から金価格は約66%上昇し、8月末から10月20日にかけては26%超の急騰を記録しました。

この異常な上昇スピードが「買われ過ぎ」サインを点灯させ、トレーダーたちが一斉に利益確定のために売りに出したことで暴落が起こりました。

価格の急上昇は、過去に金価格が大きな上昇を見せたときと同様に、短期的な利益確定の動きに拍車をかけました。利益を確保したい投資家心理は強く、価格調整が進む結果となっています。

とくに金価格が急騰したタイミングでの利益確定売りは、トレーダーの共通認識になっており、その影響は大きかったといえるでしょう。

参考:PICTET | 金価格の動向と展望

米ドル高の進行

金価格とドルには逆相関があり、ドルの需要が上昇すると金は減退します。今回は、FRB(米連邦準備制度)の利下げ観測が「過度」と見なされ、ドルが買い戻される展開でした。

その結果、金よりも利息を生む資産の魅力が高まり、金価格が下落しました。さらにドル高が進行する中で、金を購入するコストが上昇しています。

ドル建ての金価格の上昇は、他国通貨にとって金の価格を引き上げる要因となりました。しかし、ドル高が進むと金の購入コストが高くなり、需要が縮小する結果となりました。

参考:brandvalue | 金価格の最新動向

米中関係の改善ムード

2025年10月下旬にトランプ大統領と習近平国家主席の会談が報じられ、貿易摩擦のさらなる緩和が期待されました。

市場全体にリスクオンの流れが生じ、安全資産である金からの資金流出を加速させました。米中関係の改善が見込まれると、貿易戦争や関税問題が緩和される可能性が高まります。

リスク資産への投資が進み、安全資産としての金の需要が減少することが懸念されました。リスクオンのムードが市場に広がり、金は投資家からの資金流出に直面しました。

これらの直接的な要因が金価格の急落を引き起こしました。次に金価格の動向に影響を与えた背景にある構造的要因について説明します。

リスクオン

投資家がリスクを取って積極的にリスク資産(株式やコモディティなど)を購入する状態を指す。一般的に経済が安定しているときや、リスクを取ることで利益を狙えるときに見られる市場ムードです。

参考:TRADING ECONOMICS | 金価格

背景にある構造的要因

金価格急落の背景には、以下の2つの構造的要因があります。

  • 過剰流動性と投機資金の集中
  • 地政学リスクやインフレ懸念の反動減

過剰流動性と投機資金の集中

各国中央銀行の金融緩和が続いたことで、金ETFや金先物などへの資金流入が過熱し、短期的な投機バブルが発生。その結果、金は資金流入を受けて価格を急速に上昇させました。

しかし、過剰な流動性が市場に供給されると、投機的な資金が集中し、金価格は不安定な動きとなりました。

金は「安全資産」です。しかし、今回は過剰な投機資金が市場に影響を及ぼし、価格変動が加速しました。

流動性

市場で資産(株式や金など)が、どれだけ簡単に売買できるかを示す指標。資金が市場に多く供給されると、流動性が高まり、取引が活発になり、価格が上がりやすくなる。

参考:IG Group | 金価格見通し

地政学リスクやインフレ懸念の反動減

地政学リスクが高まると、投資家はリスク回避として金に資金を移す傾向があります。

しかし、ウクライナ情勢や中東リスクへの警戒感が一時的に和らぎ、リスク回避目的での金買い需要が後退しました。これにより金価格は急激な調整局面に入りました。

金価格の日足チャート
出典:金価格の日足チャート

構造的要因が金市場に与えた影響を理解することは、今後の動向を予測するうえで大切です。次に専門家の見解について説明します。

専門家の見解

金価格の急落については、専門家の見解も分かれています。たとえば、KCMトレードのマーケットアナリストのティム・ウォーター氏は、以下のような見方を示しています。

ティム・ウォーター氏

「今回の下落は調整局面であり、FRBが現行の緩和姿勢を維持する限り、これは買い場」

金の価格は一時的に調整局面にあるものの、FRBの政策が引き続き緩和的であれば、長期的な価値は維持され、再度上昇を見せる可能性が高いとしています。

一方、資産運用会社のピクテ・ジャパン株式会社は「短期的な変動が大きくなる中、長期的な金需要(通貨分散、地政学リスク対策)は不変」と分析しています。

金に対する需要は依然として存在し、とくに通貨分散や地政学リスク対策としての需要は今後も続くとしています。短期的な変動に左右されず、長期的には安定した価値を保ち続けるだろうと予測しています。

今回の暴落は「過熱相場の反動」と「米ドル高」「リスクオンムード」の3重ショックによる急激な利益確定売りが主な要因です。根本的な金の安全資産価値が損なわれたわけではないと評価されています。

参考:livedoor News | 金価格が大幅下落した原因

今後の投資戦略

私は今回の金の暴落を妥当な調整として捉えています。それに加えて、エネルギー資源で40%のリスクヘッジを行ったことは成功したと考えています。

今後も金は高騰し続けると予想しています。最近は米国株も伸びが鈍化しており、現在どの段階のバブルにいるのかという議論がよくされています。

二宮利徳

私は米国株の動向や金の価格動向に注意を払いながら、慎重にポートフォリオを再構築するつもりです。

金は安全資産としての魅力を持ち続けており、その価値が再び上昇する可能性は十分にあります。中央銀行の金融政策や地政学的なリスクが影響を与える中で、金の重要性は今後も高まります。

初心者でも、金投資は少額からリスクを抑えて始められますので、まずは基礎知識を学び、徐々に自信を持って投資できるようにしましょう。

金投資は「ネット証券で始める金投資!円の価値を守る最もシンプルな方法」で詳しく解説しています。

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監修者

1981年生まれ。2009年に保険業界へ転身し、2013年に証券外務員資格を取得。あいざわ証券・SBI証券のIFAとして活動後、2016年にエストニアで起業し金融商品仲介業を取得。2020年に日本でセミナー会社を設立、投資教育事業を展開。2023年、日本金融庁より投資助言業を正式に登録し、海外金融に携わり続けている。現在は全国・世界各地の個人投資家にアドバイスを行い、クライアント数は約10,000人にまで拡大。

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