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米中貿易摩擦◆後編◆

前回は、米中貿易摩擦の概要とその背景をご説明しました。

『米中貿易摩擦◆後編◆』では、世界の景気への影響を見ていきます。

 

◆米中経済と株価への影響◆

世界1位のGDPを誇るアメリカの経済状況は、全世界の景気に最も影響を与えます。
分かりやすい例でいうと、日本の株価はアメリカの株価と連動し、常にその影響を受けて同じように動いています。

そのアメリカの強大な経済に唯一影響を与えられる国が、世界2位の経済大国、中国なのです。

世界の景気を左右する1位2位のふたつの国がいがみ合っているのですから、全世界の景気にも当然影響があります。

実際に、2018年から繰り広げられている米中両国の関税の引き上げ合戦に呼応して、株式市場も同じ時期から一喜一憂しながら乱高下を繰り返している現状があります。

長引く貿易摩擦に対して不安感が広がると、「一憂」した時の株価の下落幅も大きくなり、株価の下落幅が大きくなれば、逆資産効果で個人消費も減少傾向になってしまいます。

二国間の貿易摩擦が、周り巡って世界中の人たちの消費活動に、マイナスに働いているのです。

また、二国間の対立が深まっていく中、両国企業・両国に拠点をおく世界各国の企業は、政治的リスクを避けるために経営判断が慎重になり、設備投資なども停滞してしまいます。

企業が投資を渋ることによって、米中のみならず全世界の経済成長は停滞し、同時にインデックスも下がっていきます。

◆米中貿易摩擦における投資の心構え◆

アメリカと中国には、世界1位2位の経済大国として、両国の対立による世界の景気への悪影響を避ける義務があると言えます。

しかし、コロナ禍においてもアメリカは中国ハイテク産業への制裁を強めるなど、貿易摩擦の解決へ向けての前向きな動きは見えてきません。

年末の米大統領選で再選を狙うトランプ大統領にとって、対中強硬姿勢は支持率上昇を図るための重要なパフォーマンスでもあり、落選をしない限りは貿易摩擦が続くといえます。

大国の、自国の利益のための覇権争いによって、その他多数の国が経済に悪影響を受けることは理不尽そのものですが、権力を持つ国と持たざる国の違いと言うほかありません。

しかし、私たち投資家は、強国アメリカと中国が世界の経済をかき乱す、という事実を理解していればよいのです。

そうすれば、チャートの乱高下に惑わされず、市場が混乱するさなかでも、冷静に、的確に投資する場所を選び出すことができるのです。