VIX指数(ヴィックスしすう)とは、「Volatility Index」の略です。日本語では「恐怖指数」と言います。
米国の株式指標であるS&P500がもとになっており、数値が高いほど投資家が市場に対して不安や恐怖を抱いているのを意味します。
そのため、相場が急落しているときほどVIX指数は高くなります。相場の温度感を知るのに便利な指標です。
【金融工学上の説明】
(VIX指数はオプション取引のインプライドヴォラティリティをもとに算出される指数です。オプション取引の値動きが激しくなると、VIX指数が上がる仕組みとなっています。詳しいことは理解できなくても問題ありません)
VIX指数の使い方
VIX指数は、相場の温度感を知るのに使えます。
通常は10~20の間で動いており、30を超えると警戒領域と判断します。米国株式市場で3度目のサーキットブレーカーが発動した、2020年3月16日時点のVIX指数は「83.56」と、警戒領域の30を大きく上回っています。この数字はリーマンショックの時※1よりも高く、投資家の混乱が高まっているのがわかります。
※リーマンショック時のVIX指数は、終値の最高値が2008年11月20日の「80.86」、日中での最高値は2008年10月24日の「89.53」です。終値で比べると、今回のVIX指数「83.56」が過去最高値となります。
VIX指数に連動する商品
VIX指数に連動する金融商品には、次のようなものがあります。
銘柄コード 銘柄名
1552 国際のETF VIX短期先物指数
このETFは、VIX指数が上がると利益が出る仕組みです。そのため、市場が不安定なときのリスクヘッジとして使えます。
ただし、長期保有を続けると、どんどん価値が小さくなる欠点があります。長期保有には向かず、あくまで短期的な売買に向いている商品である点を、頭の中に入れておいてください。
<国際のETF VIX短期先物指数>
(出典:SBI証券)
上のチャートは、「国際のETF VIX短期先物指数(1552)」の2か月間の値動きを表したものです。2020年2月24日付近から、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて株式市場が下落していました。
それに対して、VIX短期先物指数は右肩上がりで上昇を続け、1口あたり6,000円だったのが18,000円になっています。このように、相場の急落局面で値上がり益が手に入るので、リスクヘッジ先として使えるのです。
日本版VIX指数「日経平均VI」
日経平均VIは、“投資家が予想する日経平均株価の変動幅”を指数にしたものです。VIX指数の日本版と考えておけばよいでしょう。この指数はSBI証券でチェックできます。
(出典:SBI証券)
上のチャートは、日経平均VIの2か月間の動きを表したものです。VIX短期先物指数と同じで、2020年2月24日付近から新型コロナウイルスの影響を受けて、日経平均VIが上昇しています。そして、2020年3月17日には「56.47」を付けています。
一般的に警戒領域と言われる「30」を大きく超えており、相場が急落で大荒れとなっているのがわかりますね。
日経平均VIに連動する商品
日経平均VIに連動する金融商品には、次のようなものがあります。
銘柄コード 銘柄名
2035 NEXT NOTES 日経平均VI先物指数 ETN
このETNは、日経平均VIが上がると利益が出る仕組みです。そのため、「国際のETF VIX短期先物指数(1552)」と同じで、市場が不安定なときのリスクヘッジとして使えます。
長期保有に向かない点も同じです。長期保有するとどんどん価値が小さくなるため、あくまで短期的な売買に向いている商品である点に注意しましょう。
<日経平均VI先物指数 ETN>
(出典:SBI証券)
上のチャートは、「日経平均VI先物指数 ETN(2035)」の2か月間の値動きを表したものです。日経平均VIに合わせて、右肩上がりで上昇しており、1口あたり500円だったものが2,500円になっています。「国際のETF VIX短期先物指数(1552)」と同じで、相場が急落した際のリスクヘッジ先として使えます。
総括
「VIX指数」や「日経平均VI」は、相場の温度感を知るのに役立つ指標です。相場が急落しているときはこれらの指数が高くなり、落ち着いているときは低くなっています。
これらの数値が「30」を超えてくると、相場の変動が激しい警戒ラインとなります。警戒ラインを超えた場合は、さらに急落する可能性があることも頭に入れておきましょう。
相場の急落が起きそうな水準に迫ってきたときや、すでに相場が急落しはじめたときは、VIX指数や日経平均VIに連動した商品に投資すると、損失を減らせます。これらの金融商品をうまく使って、急落時でも落ち着いて投資をしたいですね。