ストキャスティクス(SRV-%K・%D・SLOW%D)の見方・使い方
ストキャスティクスとは、株価の「売られ過ぎ」、「買われ過ぎ」を判断するための指標の一つで、一定期間の価格のレンジの中で直近の終値が相対的にどのレベルに位置するかを見ます。
ストキャスティクスの種類は、動きの速い「ファースト」(%K・%D)と動きの緩やかな「スロー」(SLOW%D)があります。
%Kは、一定期間における最高値から最安値までの範囲の中で、直近の終値がどの位置にあるかを見る指標です。
%Dは、%Kを移動平均化し動きを平滑化した指標です。
SLOW%Dは、%Dを一定期間(一般的に3日間)平均化した指標です。
チャート上では先行する%K線と、%Kを移動平均化することにより遅行する%D線の動きが異なる2本の線を表示し、その位置水準やクロスの仕方から、相場の転換点や、割高、割安の売買タイミングを探すことを目的とします。
SLOW%Dは、やや遅行性がありますが%Kと%Dよりダマシが少ないのが特徴です。
大きな値動きをする相場の場合、上下に張り付いてしまい役に立たなかったり、また、%Kと%D線の動きは早くダマシが発生しやすいという欠点もあるため、よりなめらかな動きをするSLOW%Dを使用するとダマシを少なくすることができます。
ストキャスティクスの売買サイン
◆買いサイン
- %Kと%Dが、20%もしくは30%以下・・・売られ過ぎ
- 予め定められた水準(例20%)を割った後、%Kもしくは%Dが下から上抜ける時
- %Kが%Dとクロスし、%Kが%Dを上抜ける時
- 株価が安値を更新しているにもかかわらず、%Kや%Dが前回の安値を下回らない場合
- SRV%K、SRV%D、SLOW%Dの3本が20%を割り込んでいる時(安値圏にある時)%DがSLOW%Dを下から上に抜けた時
売りサイン
- %Kと%Dが、80%もしくは70%以上・・・買われ過ぎ
- 予め定められた水準(例80%)を上回った後、%Kもしくは%Dが上から割り込む時
- %Kが%Dとクロスし、%Kが%Dを割り込む時
- 株価が高値を更新しているにもかかわらず、%Kや%Dが前回の高値を上回らない場合
- SRV%K、SRV%D、SLOW%Dの3本が80%を超えている時(高値圏にある時)%DがSLOW%Dを上から下に抜けた時
ストキャスティクスの見方は?
ボックス相場のような一定のレンジ内の価格変動や相場のトレンド転換時に非常に明確なサインを発します。
しかし、価格が明確な上昇トレンドや下降トレンドを形成している場合、ダマシが発生しやすくなります。
上昇トレンドの場合、売りサインが出ても押し目買いのタイミングになったり、わずかな調整後高値を更新したりする場合があります。
反対に、下降トレンドの場合、買いサインが出ていても戻り売りのタイミングだったり、再度安値を更新したりする場合があります。
ストキャスティクスは、あくまでも過去の値動きを表し、今後の値動きを推し量るものですので、他の指標と併用し、投資判断の一つの目安として利用してください。
ストキャスティクスの使用日数
期間は、9日間が一般的ですが、投資スタンスによって短くしたり、長くしたりして使用します。
日足 9日 25日
週足 9週 13週
ストキャスティクスと併用するのにおすすめの指標は?
ストキャスティクスに、他の指標を併用して使う場合、同じ種類のオシレーター系を重ねても結果は変わりません。
ストキャスティクスは、高値に対し現在値の位置を表す指標です。
高値引けすれば、数値は上がっていき、高値圏になり、上ヒゲが伸びると、それが高値になるので、高値より現在値が安くなり、指数が下がっていきます。
押し目から初動の状態では、上ヒゲ無し(高値引け)のローソク足の形が多く、高値になるほど、上ヒゲが伸びたり、陰線になったり、利食い活動が現れます。
そう言う計算式からくる動きが反映されて、ストキャスティクスは、まだ株価は上昇する局面なのに初動の早い段階から80ポイント台に乗せてくることがあります。
このデメリットの部分を、どの指標で補えば有効活用ができるか?
わかりやすいものの一つとして、トレンド指標のパラボリックを併用します。
パラボリックは相場のトレンド転換点を計るトレンド追随型のテクニカル指標で、常に買いか売りのポジションを持つ「どてん(途転)」のシステムです。(下図参照)
買いポジション・・・株価がSAR(桃色)の上に位置している期間
売りポジション・・・株価がSAR(青色)の下に位置している期間
と見ます。
ストキャスティクスと併用して売買ポイントを掴みましょう。
「SRV-K・D」と「SRV-%K・%D」の違い
これら両指標は、株価の買われ過ぎや売られ過ぎの状態を分析するテクニカル指標になります。両者の違いは、算出される計算式の違いからきます。計算式の違いによって、両者の指標の使い方の違いや特徴は下記のようになります。
一般的に使用されてるのは、「SRV-%K・%D」の方です。こちらは、株価の動きに敏感に反応するため、短期売買に向いています。したがって、指標の動きは激しい動きになるため、買われ過ぎや売られ過ぎが比較的わかりやすく、緩やかな上昇トレンドや下降トレンドでは機能を発揮します。SRV-%K・%Dの注意点は、指標が敏感に反応しますので、株価が急騰する場合は、指標が天井に張り付いて、買われ過ぎ状態でもさらに株価が上昇する場合があります。また、株価が急落する場合は、指標が底値に張り付いて、売られ過ぎ状態でもさらに株価が下落する場合があります。
一方、「SRV-K・D」は、「SRV-%K・%D」より株価に対して反応が鈍く動きが緩やかになります。指標の動き緩やかなため、短期的な動きを捉えるよりも、指標の動きそのものが滑らかになるため、中期的な方向性を見るのに適しています。そのため、中長期の売買に向いていると言えます。ただ、中期的に方向性を捉える反面、買われ過ぎや売られ過ぎの状態を掴むことが難しくなります。上昇相場の場合、50%以上で推移するため、売られ過ぎ状態の時は押し目のタイミングが掴めにくく、買われ過ぎ状態の時が売りタイミングが掴めにくくなります。