▼海外積立の構造

解約違約金

満期と解約違約金について

隠して販売したブローカーと
隠されて投資した日本人について

解約違約金。これが海外保険に加入する際に最も気をつけなければならず、社会問題となる数の海外保険難民を日本に作る原因になった規約です。

私の所にお問い合わせをいただくほとんどの方も、解約違約金をきっかけとして甚大な財産喪失の危機にさらされている方々です。

こんなことを言うとどんな恐ろしい規約なんだと思われてしまうかもしれませんが、規約自体は大したことはありません。問題なのは、このペナルティ、デメリットを隠して販売しているブローカーたちです。

海外の年金保険は、日本の保険のように解約返戻金が損益分岐点(元本と同じ量)に達するのに10年も20年もかかるということはなく、ファンドが出した運用益を初年度から積立金に月利でかけてくれます。

しかしそれをいつでも引き出してつかえるかというとそうではなく、またいつまで積み続けなければならないかという点も、会社によって制限されています。

ではそのペナルティとはどのようなものか。

1990年代から2010までに日本をマーケットとした会社の規約は、満期前の引き出しや解約に対してかなり厳しい制約をつけました。

例えば、ある会社で25年満期の積立を組み、20年間積立をして、残り5年を残し解約しようとしたとします。

それまでの25年間、毎月送られてきた運用レポートでは、順調に運用がなされ、6千万円の総資産が溜まっていたが、解約して返ってきたのは、約4千万円だけでした。

20年も待って、たった5年間早く引き出そうとしただけなのに、約2千万円を溶かしてしまったのです。

5年早めただけで3割取っていかれるのですから、積み立てて10年、つまり15年早めて解約してしまったら、雀の涙ほども残りません。

ペナルティの詳細を書く前に、そのような規約のある商品が決して劣悪だというわけではないことを説明しておきます。

日本の保険でもこれほど厳しい中途解約のペナルティを設けていないのに、なぜ私がこう考えるか説明しておきます。

もちろん中途解約でも、できるだけ総資産に近い金額を返してくれる会社の方が良心的です。
(近年開発され日本に入ってきた商品は非常に低いペナルティ率となっています)

しかし、金融の教育を中学高校で受けている欧米先進国民(イギリス、アメリカ、スイス、ドイツ、フランス、カナダ)は、中途解約の不可性をデメリットと考えていません。

というのも、積立は長期でやらなければ意味がなく、一時の欲望に負けて引き出して使ってしまっては意味がないことを知っているので、中途解約や引き出しができない代わりに、保険会社に多くのボーナスをつけてほしいと考えます。
(逆にいうとペナルティがきつく、ボーナスも低い会社は無能だとみなします)

各会社のペナルティの詳細は、それぞれの商品ページをご覧ください。

このペナルティがデメリットとなるのは、日本人の金融リテラシーの低さがゆえであるかのように聞こえてしまいそうですが、そうではないことをはっきり言っておきます。

問題の発端はやはり手数料を荒稼ぎするために規約を隠して販売するブローカーです。

寄せられる問題の多さとその深刻さ、一つ説明すれば良いことを飛ばすことで数十年にわたるライフプランを破壊しているという点で、正直私はひどく憤慨しています。

リーマンショックの引き金となった、サブプライムローンを利用して、住宅を売り逃げしたブローカーに似た功罪があると思います。

結局、日本では2013年に消費者センターに苦情が殺到し、金融庁が介入し、海外保険会社の多くが営業を停止し、自国でも日本人の加入を許可しなくなるという大問題に発展しました。

ではブローカーがついた嘘とは何だったのでしょうか。

  1. 2年間経てば、あとは引き出すのも、投資をとめるのも自由にできるという説明をしている。(実際には満期までほとんど引き出せない)。
  2. 満期を最低15年から設定できるのに、25年満期、30年満期でしか組めないと話ししている。(長期で組んでもらったほうが保険会社から支払われるコミッションが高いから)