▼周辺知識

海外積立と日本の変額保険

変額保険と海外保険の違い

わかりやすく箇条書きにすると

変額保険

  • 投資先として選択できるファンドの数が変額保険6~8個に対して海外保険約200個
  • 変額保険は毎年年利7%出ていたとしても、損益分岐点(解約返戻金が元本に達する)までに5年はかかる。そこからようやく運用益が加算されはじめる。

対して

海外保険

  • 海外保険はファンド投資と同じで、積立元本に直接利率がかかった数字が総資産となる。
    (その代わり全額引き出せるまで時間がかかる)
  • 変額保険の手数料は保険会社に払う手数料+信託報酬だが、海外保険は前者だけ。

このように、海外保険(欧米人からすれば、一般的な年金保険)の方が明らかにメリットが多いので、変額保険が欧米で普及した1960年代にも、加入者はほとんどいませんでした。

日本の変額保険について

2010年代、ソニー生命が先頭に立ち、アクサ、あんしん、プルデンシャルが変額保険の販売を促進し、結果爆発的に変額保険は売れました。

その背景にあった主な理由として、

  1. 日本のマイナス金利政策と、米国の金利の利下げにより、円建て、外貨建ての終身保険の固定利率が下がった。
  2. ソニー生命がある時、好きなファンドに好きなだけ投資できるシステムに制限をかけ、さらに保険会社が取る手数料を引き上げたことにより、他社にチャンスが来た。

などがあります。

しかし私個人の見解としては、変額保険が売れること自体、日本人の金融リテラシーの絶望的な低さを表していて、さらにその状況を保険会社が自社利益のために利用しているという悲観的なものです。

保険営業マンは「利率固定だとこれくらいしか増えません」「変動を受け入れて変額にしましょう、ちなみにうちの変額保険が扱う投資信託の過去の運用実績は……」という話法で販売しています。

その話法の考え方でクライアントに資産運用のアドバイスをするなら、変額保険ではなく、NISA口座を開いての、ファンド積立を勧めるべきなのです。