▼周辺知識

オフショア

       オフショアについて理解しましょう

 

 海外投資をオフショア投資と呼ぶことがあったりしましが、海外投資とオフショア投資は全く別の概念です。

 どうして混同されがちなのかというと、日本から海外の金融商品にアクセスするあたって、オフショアは切っても切り離せないものだからです。

海外投資をしなくても、日本からネット証券口座を使って海外ファンドを買ったときでさえ、間接的にですが、知らず知らずのうちにオフショアを利用しているということがあります。

語源の『offshore』は、「海外で」という意味、『offshore』はビジネス用語で広義には「海外に事業を移転する」というような意味ですが、

金融業についてオフショアと語られるとき、それは、「海外の企業を誘致するために、税制が緩和された、ある行政区域」、あるいはその法的制度そのものを指します。 同じくよく聞く、タックスヘイブンも同じ意味だと思ってください。そうです。オフショアの主な役割は租税回避です。

 オフショアが金融業界で使われる場合、と書きましたが、オフショアが使われるのは何も金融系の企業だけというわけではありません、ソフトバンクや楽天、トヨタ、ソニーなど、世界中の名だたる企業のほぼ全てがオフショアに支社や子会社を持ち、帳簿上不自然でない程度の金額をそこでの計上として、母国での納税を回避しています。

 ちなみにケイマン諸島だけでも、日本は企業に14兆円の租税回避をされていて、消費税1%分の税収が約2兆円と言われていますから、一つの群島だけで消費税7%分は持っていかれていることになります。 

 先進国全体でいえば、2000年度のITバブルの頃からあらゆる国の巨大企業のオフショアの利用は爆発的に増え、その額は低く見積もってもGDPの20%は越えます。

米国フェイスブック社などは子会社などではなく、本社ごと、オフショアビッグ7と呼ばれる国のうちの一つアイルランドに移転してしまいました。(トランプはフェイスブック社をアメリカに呼び戻すことを、任期内にやるべき自分の仕事の一つと述べました。結局やれずに終わりそうですが)

  一例としてケイマン諸島で完全に非課税になる項目をあげたいと思います。

  • ・所得
  • ・利益
  • ・財産
  • ・キャピタルゲイン
  • ・売り上げ
  • ・遺産相続   

   日本の生活から考えると、にわかには信じがたい話ですよね。

 金融に話を戻すと、オフショアの中で最も多くの金融機関が籍を置いているケイマン諸島では、毎年2100兆円の利益が収められていますが、その半分は世界中のメガバンクのものです。 

 金融機関の場合、狙いは単に租税回避をして法人の内部留保(法人の貯蓄)を増やすという目的以外にも、利用者により多くの利益・配当をもたらす、という目的があり、一概にうらやましい、と私たちが言うことはできません。私たちのためでもあるのです。

 海外の有名ファンドのほとんどが、オフショア籍であるのもそのような理由からです。

 結果として、ケイマン諸島、マン島、BVI(イギリス領バージンアイランド)などは『国際的な金融市場』となりました。

 他に挙げるなら、税金はゼロではありませんが、ルクセンブルク、アイルランド、モナコ。アジアでは香港、シンガポール、マレーシアといった、イギリスの制度を受けついでいる旧イギリス領が有名です。

 海外積立について言及すると、還元する利益の増大以外にも我々のためにオフショアが果たしているもう一つの大きな役割があります。

〇それは国境を越えて、投資家に商品を届けるという役割です。

 どの保険会社であれ、ファンドであれ、自国で販売している金融商品を自国に来てもらうことなく、日本人を含めた全世界の人に販売しようとしても、アメリカならアメリカ、イギリスならイギリスの法律がそれを許しません。

 海外の顧客、例えば日本在住の日本人に直接売ろうとした場合、オフショアに籍を置きくことで、そこから日本人に提供することができます

 オフショアがあるおかげで、私たちは海外の金融機関が、その歴史文化の中で開発した多様な商品に投資することができるのです。

 

-海外保険会社、トラストカンパニーに関連のあるオフショア一覧ー

 

ケイマン諸島

利用会社:インベスターズトラスト

ケイマン諸島は、タックスヘイブンであるがゆえに古くからマネーロンダリング(資金洗浄)などに利用されてきましたが、パナマ問題などの影響により、近年ではOECD(経済協力開発機構)IFA(国際通貨基金)の監査が入っていて、透明性の高い国となっています。

ケイマン諸島はイギリス領の小さな島です。

税制面では、数多くのものが非課税となっています。

 

そんな小さな島ながらも抜群の節税効果が望めるケイマン諸島には、法人6万社が登記されており、銀行も600行以上、1万以上のファンドが登記されています。

ケイマン諸島の首都ジョージタウンには、ウグランド・ハウスという5階建てのビルがあります。

その5階建てのビルに、なんと18,000社もの会社登記があるのです。

 

 物理的にも不可能に見えるこの数字ですが、実際にビルの中で会社が機能しているかというとそうではありません。

ウグランドハウスはただのポストオフィスでしかなく、実際に登記している会社は他に住所を持っています。

そのため郵便物でさえ、ウグランドハウスではなく別の住所に届くのです。

このことからも、これらの法人はケイマン諸島での税制メリットを得るためだけの法人、つまりペーパーカンパニーだと言えます。

日銀が公表した国際収支統計によりますと、ケイマン諸島の分だけで租税回避額は約14兆円に上るとされています。

消費税1%分の税収が約2兆円とされていますので、ケイマン諸島だけで7%分も取り損ねている計算になります。

 

 

◇香港

利用会社:METIS、FTLIFE、SUNLIFE

 香港は国際的な金融センターとして広く知られており、地理的な利点も備えています。また、多言語文化とイギリス法をベースとした包括的な金融法により、「Global Financial Centers Index」(2017年3月時点)にてアジア地区首位となっています。格付け会社Standard & Poor’s社からはAA+を取得しています(2017年9月時点)。

 また上記メーカーだけでなく、日本への投資性商品の紹介を目論んでいる、アテネベストを始めとした多くのIFAがあります。

 

 

マン島

  利用会社:ロイヤルロンドン(RL360)

 国際通貨基金によって規制の優れたオフショア金融センターであると認められているマン島に本拠を置いた保険会社の場合、金融機関が提供しなければならない2層の保護を得ることができます。
 

 1.ソルベンシーおよび報告義務。マン島保険規則2018の下で、生命保険会社は、将来の保険契約者の債務が期日を迎えたときに満たされるという確信を提供するために、十分な資本を保有るる必要があります。

 ソルベンシー資本要件は、保険会社が直面する定量化可能なリスクをすべて考慮し、200年に1回のリスク事象が発生した後も企業がソルベンシーを維持できるように計算されます。

企業に、ソルベンシーを証明するために当局および一般に独立して監査された年次報告書を提出する法的義務があるという事実は、マン島の生命保険会社の財政状態に対する信頼を維持するのに役立っています。

 2.補償スキーム。負債を裏付ける資産の不足が発生した場合、顧客は、生命保険(保険契約者の補償)規則1991によって保護されます。これにより、保険会社が負債を満たせなかった場合、顧客に最大90%の保護が提供されます。

 これらの投資家保護および補償制度は、保険会社の債務を履行できない場合にのみ適用されることに注意してください。この制度は、投資にリンクされたポリシーで保有されている投資の価値の低下を通じて発生した損失はカバーしていません。

 豊富な経験、優れたコミュニケーション、英国諸島の中心部にあるため、世界の主要な国際金融会社の多くがここに拠点を置いています。

 

        ブリティッシュバージン諸島

 利用会社:プレミアトラスト

〇財務格付け Fitch AA & Moody’s Aa1、 04/2020時点

〇カリブ海に浮かぶ西インド諸島の中のイギリスの海外領土(自治領)の、ヴァージン諸島の東側半分です。諸島群の西部はアメリカ領で、東には英領アンギラがあります。よく略してBVIと呼ばれます。

〇UKの法律に基づいた法律(EUの一部ではありません)

〇海外投資家に対して中立的な税制(主要通貨:米ドル)

〇世界で19番目に高いGDP(1人あたり)*

〇世界のオフショア会社の45%はBVIで設立*

〇会社の所有に関して透明性が高い(共通報告基準の遵守)

〇BVIは1,230億米ドル以上の海外直接投資における、世界で(オフショア金融業界では香港に次ぐ)2番目に大きい国(2007年のFL報告より)