▼周辺知識

ユニットリンクとは

日本の金融業従事者が『ユニットリンク』 という言葉を聞くと、全員がアクサ生命が販売している変額養老保険の商品名を思い浮かべると思います。

しかし、欧米諸国、そしてインドなどでしょうか。この言葉を聞いて一つの商品名を思い浮かべる人はいません。

 

ユニットリンクとは金融商品の形態、様式の名称であり、多くの金融機関がこの様式にならって商品開発をしています。
海外の商品パンフレットでは『この商品はユニットリンクタイプの商品です。』などと説明されていることがよくあります。

どうして日本ではユニットリンク=アクサの商品なのか。それには外資企業アクサの日本進出の経緯が関係しています。

以前の日本には、変額保険としてソニーの変額終身しかありませんでした。

そこで、アクサは日本に外資として参入した際に、フランス本国で使用いていたユニットリンクタイプの商品を持ち込もうとしました。

 

しかし、日本では101型や105型が「死亡保障がない」という理由で保険商品として認可されず、また投資先のファンドの数も200では多すぎるということになり、金融庁との交渉の末、

  1. 保険なので死亡保障を多分につける

    養老保険になる

  2. 投資先のファンドが多すぎる、それでは証券投資になってしまう

    →既存のソニーの変額保険に合わせ、ファンドは6つへ

こうして、ファンドは選べない・月払いを高くすればするほど死亡保障に利回りをもっていかれる・積立分が増えなくなる、という、世界から見れば「何の役に立つんだ?」と言われてしまうような商品が生まれてしまいました。

(このアクサのユニットリンク、今、国内の積立保険としては最も売れていて、年間約100億円が投資されているとのことです。このあたりにも日本の金融市場の約50年の遅れを感じてしまいます。)

つまりアクサはユニットリンク様式の金融商品を持ち込もうとしたものの、日本にあまりに普及していないので、本来提供したいものとはだいぶ違う形になってしまったのです。

世界中の先進国で、老後資産を作るための基準的なツールとなっているユニットリンク様式の保険を、少しでも理解・体験してもらいたい、という気持ちをこめて、その一般的な様式の名前をそのまま商品名としたのです。

ではユニットリンクとはどのような様式なのでしょう。

  1. 保険という、投資よりも税制面で優遇された積立商品が、国際的なファンド(ユニット)と結びつけられていて(リンク)、ファンドの運用益が積立保険にダイレクトに跳ね返ってくる。
  2. 証券会社窓口でファンドを買うと購入手数料がかかり、さらにファンドごとに異なる信託報酬(手数料)を取られますが、ユニットリンク型の保険では、ファンド売買の手数料は取られません。またファンドによって信託報酬が決められておらず、保険会社が一括で徴取します。(日本のユニットリンクだけは例外で、保険会社への手数料に加え、各ファンドへの少量の信託報酬を要求されます)

なぜ欧米では各保険会社がこれほどユニットリンク型の商品をつくっているのでしょうか。そこには文化的な背景があります。

欧米では自助努力の運用により、自分の資産は自分で築かなければならない、という意識が強いのです。

特に英米では、日本のように年金が国民基礎年金と厚生年金と二段階になっていません。
会社員でも自営業者でも、一段階しか支払い義務がありません。そして二段階目に、保険会社を使っての積立(日本でいう海外積立)を使うと、そこで得られた利益に対しての税金は控除されます。

収入が多い人ほど積立額は高くなるので、保険会社は良い商品を作り、顧客を獲得することが最大の収入源となりました。 保険会社はこぞって強力なファンドと提供し、そこへ証券会社よりも効果的に分散投資できる商品を作りました。

☆日本の保険会社のように自社で債券運用するようなことはしません。顧客の資産の運用は、投資の専門機関であるファンドに任せ、保険会社はそこに死亡保障をつけるという作業に終始しました。

これがユニットリンクの始まりで、最初に保険会社がファンドへ顧客の資産を託したのは、19世紀、ロイズグループが初めてと言われていますが、競争が激化したのは戦後となります。