▼金融の基礎知識

インデックス

皆さん、インデックスという言葉を聞いたことはありますか?

海外、国内を問わず、もしすでに投資をしていて、インデックスに関心のない方、概要だけで良いので憶えてください。

ここではインデックスについて、入門から応用まで解説します。

内容

一章 インデックス=投資の背骨

金融経済におけるインデックスとは何でしょう? 日本語で言うと『経済指標』となります。それによってある市場の景気の良し悪しがわかるものです。 ここではインデックスとは何か、そしてどのように投資に活かせばいいかをお話します。

海外積立をされている、多くの方は、この一章を読むだけで十分かと思います。

日本と日本人にとって、一番密接に関係しているインデックスは具体的に何でしょう? それは日経平均株価ですよね。毎日、新聞やニュースでいくら動いていくらになったのか、が発表されるのは、それがあらゆる投資家にとって重要な事柄だからです。

まずは、この日経平均株価について解説します。

日経平均とありますが、何の平均なのでしょう。日本に上場している企業は2,131社ありますが、それらの株価の平均値、というわけではありません。

 

実際は、日本経済新聞社が、各業界からまんべんなく選んだ、日本のトップ225社の株価の平均になります。 

 

なぜ日本経済新聞社か。それは日経が、日本銀行から国内で最も優れた評価機関だとみなされているからです。各企業のファンダメンタルズ分析をして、優劣をつける上で、最も優秀だと。225社と少なく絞っているのは、一つの企業の失態により平均株価を不安定にさせないためです

インデックスの種類

このブログでは、波に乗るべきインデックスの例としてー日経平均株価ーダウ平均株価ーしか扱ってきませんでした。
ですが、インデックスチャートは日本とアメリカのみならず、国の数だけあると言っても過言はありません。(取引所で売買されているのは、実際一部の先進国の指標だけですが)

優秀な評価期間だけが、インデックスを作れます。アメリカに関して言えば、ダウ・ジョーンズというやはり元新聞社が作った、ダウ平均株価が有名です。これはニッケイ225より少なく、工業部門の企業30社の平均値を表しています。

先進国各国のインデックスは以下の通りです。

イギリス FTSE
フランス CAC
ドイツ DAX
香港 HSI
上海 SHI
スイス SMI

これらの過去10年20年の動きを見れば、その国の経済成長の度合いがわかります。

日本が過去20年(ITバブル以降)で50%しかのばせていないところを、アメリカが300%近く成長しているのを比べれば、毎月入った収入をどちらに投げれば良いかは一目瞭然です。

 

 

このように愚直にインデックスに投資しようとしたとき、人が利用するのがインデックスファンドです。
インデックスファンドとは、例えば日経225で言うなら、毎月投資しお金が綺麗に225等分されてそれぞれの銘柄当てられ、資産は日経の上下高に合わせて増えたり減ったりするファンドです。

(例:月40000円入れた場合、40000円÷225=177.7円ずつで、225個の株に投資することになります)

アメリカと日本の違いを知った今、日経225に長期投資される方はいらっしゃらないと思いますが、いずれにせよ、投資を《経済成長の波に乗る》と捉えた場合、まずはインデックスファンドを買い、ある地域、文化圏の指標を買うことになるのが第一歩目だというのを覚えておいてください。

インデックスは各国にひとつずつあるだけのものではありません。
アメリカのインデックスもダウだけではないのです。

インデックスメーカーが作ったインデックス、というものが存在します。

日経よりも巨大な期間であるインデックスメーカーは、各企業を草の根をかき分けるように細やかに分析し、独自のインデックスを作っています。
正直、世界各国では、30社や40社の平均であるダウやCAC(フランス)よりも、このインデックス製造メーカーの指標の方が信頼されています。

その巨大評価機で覚えておいていただきたいのは、以下のものです。

  1. スタンダードアンドプアーズ(通称S&P)
  2. モルガン・スタンレーキャピタルインターナショナル(通称MSCI)

S &Pは2012年にダウと合併し、事実上世界最大のインデックスメーカーとなりました。

ここが作っている指標で有名なものが

  • US500(アメリカの企業を上位から順に500社)
  • Euro50(ヨーロッパの企業を上位から順に50社)
  • Asia50(アジアの企業を上位から順に50社)

などです。

特に1番はアメリカ上位500社の平均なので、ダウの30社よる上下高が少なく、より明晰にアメリカの経済成長を表しているチャートである、と考えられています。

皆さん、銀行にお金を置いていたり、一つの会社の株を買い資産を増やそうとしているならば、是非、各国のインデックスを見て、安定して上昇しているところに投資してみてはいかがでしょう。

インデックスと投資の結びつきはわかったけど、ファンド投資ではインデックスの上昇率以上の利回りを得ることはできないの? それが限界なの? と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

それはこちら、インデックスファンドとアクティブファンド の項目で答えさせていただきます。

内容

二章 インデックスが景気を表さないとき

日経平均株価、ダウ平均株価です。テレビや新聞で1日一度は見聞きするこの日経平均・ダウ平均は、日本の景気やアメリカの景気を表すと言われはていますが、実際はそんなものではありません。
☆まず大部分、景気を表していません。
何を言っているのか、と思われるかもしれませんが、以下に解説します。

日経平均株価とは何か

→日本経済新聞社が毎年決定している、各分野から選りすぐった、日本の優良上場企業225社の株の平均
ダウ平均株価→旧ダウジョーンズ(これも新聞社)が決定した、工業部門のトップ30社
この30社という少なさはびっくりされる方が多いですね。

ではその高騰、下落が根本的に表すもの説明をします。

そもそも株はどういう時に買われるのでしょう。自分が投資したお金を元手にして、その企業が良い業績はあげてくれると思ったとき、かつその値段が割にあっているなあ、と思ったときですね。
なので、最も業績を上げてくれそうなトップ225の平均を、日本を象徴する指標としました。
ここまでは良いのです。そして上記のような中長期(最低一年以上)を目的とした株買いが一般的ならば、日経平均株価は十全に日本の景気の良し悪しを表すものであったでしょう。
しかしそれを端的に上がったら売り、下がったら買うもの、として捉えている短期投資家がここに加わってくることで話は変わってきます。
その企業が今後伸びそうなのかどうなのか(ファンダメンタルズ分析)ということではなく、チャートだけを見て(テクニカル分析)、それが大きく上がりそうな波か、下がりそうな波であるか否かを常に探り狙っています。

上昇トレンド(チャートの上昇)が作られるときに起こっていること。

  1. 政治や経済の動向からそのインデックスが伸びると思った《欧米ヘッジファンド》が投資。ヘッジファンドとは投資信託、ファンドの王様だと思ってください。いずれ大きく記事にしたいと思っています。

    どうしてここで外国人投資家と書かずにヘッジファンドと書いたかというと、圧倒的な資金力を持っているので(億でなく兆円ーレベル)彼らの一挙一動でチャートが動くからです。
    逆にいえば、それ以外の投資家が何をどう動こうともインデックスは動きません。

  2. では《それ以外の投資家》は何を考えているかというと、

    「巨大ヘッジファンドが何をしようとしているかを読み、彼らの動きに合わせる」ということです。
    それはテクニカル分析をしているデイトレーダーの、このチャート次はどうなる? という思考に言い換えることもできますが、ヘッジファンドが何をしようとしているか、とチャートを見ている方が、よりうまくいきます。なぜなら《天才投資家の思考に歩を合わせる》という作業が思考に加わってくるからです。

これで、☆チャートは大部分景気を表していない、という意味を少しはお見せできたのではないでしょうか。
投資家が利益追求のために、「あいつ買い始めたぜ、うちも買わなきゃ」などとやって買われた株など、いずれ利食いのために売られるのです。つまり企業が実績を出してくれるという期待からではなく、他の投資家も買いたがり、株の価値が一時的に上がるという見込みの元に買われた株が、根本的に景気を左右するはずがないのです。
そういった一時的な買い熱の高まりによりインデックスが高騰した状態を『バブル』と呼びます。
今回、株価、インデックスは空虚だ、というお話をしましたが、次は空虚ではない部分、政府が景気回復のために必死に努力をして、それを上げようとしているものとしてのインデックスをお話します。

 

三章 インデックスが景気と関係するとき

日経225は景気を表すものではない、と書きましたが、そうすると、どうしてアベノミクス時代、日本政府は円安とそれに伴う日経225の上昇を目指したのでしょうか?

これは、デイトレーダー・短期投資家が一喜一憂するところを除いた、ファンダメンタルズ分析により株を保有する、中長期(1年以上)の投資家によりインデックスが作られる部分に因ります。

世界中のアクティブファンド(と一部のヘッジファンド)は短期投資を絶対にしません。企業への徹底したデューデリデンス(価値評価)を基礎とし、相当なことがない限り長い期間保有します。また売りから入ることもありません。

ファンドの種類についてはいずれどこかで解説したいと思います。

中期長期投資家は、チャートの短期の上下による目先の利益ではなく、その小さな上下を踏まえた上で、数年後結果的に上昇する株を探そうと日々分析しています。 なので、数日、数ヶ月、ではなく、数年という単位でインデックスが上がっているか下がっているかが、国内経済に大きな影響を与えているといえます。

景気というよりも、経済成長と言ったほうが良いかもしれません。
例えばですが、過去二十年、日経225は平均して《2%/年》しか増えていませんが、ダウ30は《7.3%/年》も上昇しています。(コロナショックを除く) ちなみに日本国民の過去20年の平均利回りは1.25%といわれていますが、アメリカ国民の平均利回りは約7%というデータがあります。

私は、アメリカ国民が、自分の国の経済成長率こそ世界で最も高いと信じているから自国のインデックスに入れていると推測します。

それにしても国民平均年利7%は素晴らしいですね。さすがの利回りです。

ダウに資産を1000万いれていた人はこの20年で4000万まで増えたことでしょう。対して日本は、自国のインデックスにすら資産を投入していないということになります。
とはいうものの、もし投資を始めるならば、日本株などは買わないでくださいね。

しかしアメリカの平均株価さえ買えば、長期的に年利7%を出せるというのは心のどこかに留めておいてください。

さて、では史上稀に見る過激な政策を行ってでもデフレから脱却しようとした、2013年のアベノミクス時の日経225の動向を見てみましょう。 アベノミクスは白眼を剥くほど過激な政策なので、別途どこかで取り上げようと思っています。
とても簡単に言うと

  1. リーマンショック後全く良くならない景気をよくしたい。
  2. まずどうしてもデフレ(物価安い)脱却したい。
  3. そのためには国民にお金を使ってもらわなければならない。

みたいなことを目的にしました。それでやったことを大きくまとめると

  1. 円の総量を三倍にしてしまえ、そして大企業の持っている国債を買えば、大企業の資産は現金となり、労働者の賃金が上がるだろう。
  2. 1で国にお金を溢れさせておいて、今度はマイナス金利政策をすることで、もらったお金を銀行に入れても増えないもしくは減る仕組みにしよう。
  3. 日銀や年金基金のお金もリスクを抑えて債権投資していないで、不動産や株を買っていこう(債権売却、REIT ETFの購入)

これには世界中が期待はしていたが、そこまでやるか、と驚き、実際、2013年日経平均は大幅に上がりました。が、毎年2%のインフレは達成できず、企業に撒いたお金は従業員までとどかず、貧富格差はひらいたままで、加えて国民年金の運用には失敗し、対GDP率で圧倒的に世界最大の借金国家となったので、アベノミクスが良かったか、悪かったかは今も賛否両論です。
以下、アベノミクス政策と、それに連動した日系平均になります。