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ドイツ銀行破綻問題の見方

 

《ドイツ銀行破綻問題の見方》

ーリーマンショック90倍の危機はいつ来るかー

騒ぎに騒がれているドイツ銀行問題について、決定的な結論が出たので、要点を一つずつ、なるべくわかりやすく、話していきたいと思います。

Aまずドイツ銀行とは?

1ドイツ最大の民間銀行
2国際的なメガバンク
3銀行業務だけでなく他業種の買収に次ぐ買収により、
2010年頃までは世界最大級の企業としてその地位を確固たるものにしていた。
4日本にも普通に支店がある。

B なぜドイツ銀行倒産でリーマンショックの90倍の被害が生まれるのか?

1CDS(クレジットデフォルトスワップ)を75兆ドル分、世界に売り払ったからです。

CDSとはどのような金融商品なのかを一言で言うと、
《ある人(企業)の負債のリスクを、その移転を目的として証券化したもの》です。
ちなみに日本は金融後進国なので、CDS単体は発売されていません。

リーマンショックの爆発の片棒をかついだこのCDSを解説します。

リーマンショックの時は
住宅ローン(サブプライムローン)のCDSでしたが、住宅ローンでは額が小さいので、企業融資を例にします。

法人Aが千億円、住宅ローンのために青銀行からお金を借りた。

青銀行には毎月の返済とともに利息が入ってくるが、法人Aが返済できなくなる(デフォルトと呼ぶ)と利息どころか千億円の残額が返ってこなくなる。

青銀行は、Aさんの年齢や収入証明から返済リスクを算出し、
法人Aがお金を返せなくなったら、十億円の残額をあなたからもらうけど、Aが返し続けるかぎり、リスク分の複利をあなたに払い続けるよ、という証券を作って販売する。

緑保険会社がその証券を買う。

緑保険会社は、法人Aが早々と倒産したら千億円近いお金を払わなければならないが、法人Aが倒産しないかぎり、延々と利益をもらえる。

というどこかギャンブルめいたものです。

このギャンブルという点が、CDSを時限爆弾と呼ばせている原因で、AAA評価のリーマンブラザーズを一瞬で破綻させたものです。

(逆に言えばAAAからの一瞬の破綻はCDSによって可能です。というのも帳簿上、資産計上になるので、表面的には経営状態が良好に見えても、CDSはその担保となっている企業のデフォルトにより一瞬で莫大な損益を生むからです)

世界中の金融機関が約75兆ドル分のドイツ銀行発行のCDSを持っており、ドイツ銀行破綻により、その全てが紙切れとなるので、リーマンショックの90倍の被害です。

C なんで破綻しそうなのか。

ドイツ銀行の株価は5年が六分の一になりました。(一発逆転を狙いたい皆さん、今がおすすめ(笑)です)
なぜここまで株主に見捨てられたのでしょうか?

1単純に銀行業務の不振
(だからCDSを売りまくった)

2CDSばかり売っているから

3特にギリシャのCDSを売っているから

知っての通り、ギリシャは以前、デフォルトしてユーロにSOSサインを出しました。
ドイツは再建中のギリシャの国債のCDSを最低でも5000億ドル分に発行しています。
ギリシャが潰れた場合、この額をCDS所有者に払わなければなりません。

4 実際に今年二万人弱のリストラを行い、さらに経営状態が悪いことを露呈。

D 今後本当に破綻するのか、
破綻するとしたら何を契機として破綻するのか。

さて結論の部分にやってきました。

1まず今後のドイツ銀行の経営再建方針ですが、同じくジリ貧のメガバンク、コメルツ銀行との合併協議が現在行われていて、これが赤字経営を立て直すかどうかが一つの焦点です。

2ギリシャがもう一度破綻したら、アウトだと思っています。発行しているCDSの中でも割合が多く、危険性マックスのギリシャ国債のCDSに対する支払い義務にドイツ銀行は耐えられません。万が一耐えられたとしても、ギリシャ再破綻によりユーロ危機が起こり、ユーロの他法人が破綻すれば、そのCDSに対してもドイツ銀行に支払い義務が起こるという連鎖でいずれ破綻します。

結論。
いつドイツ銀行が破綻するかを知る方法

1四半期ごとの決算と株価の下落に歯止めが効かない場合、

2ギリシャの情勢悪化による再破綻

この二点にとりあえず注意すれば一早く対応できる、とわたしは考えます