皆様は近頃、買うべきは米国株、という話を耳にしたことはありませんか。
YouTubeでは中田敦彦さんが米国株の魅力について発信し、米国株投資を勧める広告もよく目にするようになりました。
結論から申し上げますと、すべてその通りです。投資の基本として、買うべきは米国株。それは何故なのか、ご説明いたします。
◆株価が安定的な上昇を続けている
まずはここ10年のS&P500と、日経225のチャートを比較してみましょう。
左がS&P500、右が日経225ですが、いずれも10年間上昇傾向にありますね。
しかし、米国株がほぼ一直線的な上昇を続けている一方、日本株は上下を繰り返しながらの不安定な上昇であることは一目瞭然です。安定的に上がりやすい米国株が投資対象として優れていることは見ての通りです。
安定した上昇傾向の背景には何があるのでしょうか。ひとつ挙げられるのが、「株主第一主義」です。
日本人に、会社は誰のものか?と聞いた場合、多くは「社長」や「経営者」と答えるのではないでしょうか。
アメリカの場合、会社は「株主」のものです。
企業は株主を最優先し、あげた利益は配当や自社株買いによって株主に還元します。もし業績が悪化した場合には、配当金への影響を最低限に抑えるため、整理解雇を行って株主に損害を与えることを第一に避けます。
CEOは常に株価を上げることを目標として企業経営を行いますが、株価を上げて株主の期待に応えることのできないCEOは無能とみなされ、より有能=株価を上げられる手腕のあるCEOに取って代わられます。
これほど株価に対する強い意識をもって経営されている日本企業は、少ないでしょう。
アメリカでは、企業が株価、そして株主に対しての強大なプレッシャーを受け続けるなかで経営されているため、全体として株価が安定的に上昇するのは必然のことなのです。
さて、今までのところ米国株価が安定的な上昇傾向にあることは分かりましたが、今後もその傾向が続かないようでは、長期が基本である基礎的な投資運用としては意味がありません。
米国株は今後も安定的に上昇していくと考えられます(※文末の注をご覧ください)。
その根拠として挙げられるのは人口です。
まず、アメリカは人口が増加し続けています。
日本では2010年をピークに、ゆるやかな人口減少が続いていることが見て取れます。
人口が増えると、内需が増え、経済が上向きになり、経済が良くなると株価も上がり、そこに集まってくるお金が増えることで設備投資などが増えて更に経済効果をうむ好循環が出来上がります。一方で人口が減少している日本のような国では内需が増えないため外需に頼らざるを得ず、そのため安定的な経済成長が難しくなります。
人口の推移とともに注目すべきは、人口ピラミッドです。
緑で塗られている35歳~45歳の層は、住宅購入や教育費用の増加で最も経済的に活発な層を示しています。
日本は2015年時点において団塊ジュニア世代が多く、経済活動の活発な層の厚みがありますが、2050年の予想図を見ると事態は一変し、働く世代や消費の活発な世代がぐっと減ることが分かります。
一方のアメリカはどうでしょうか。1989年~1995年の間に生まれたミレニアル世代の厚みが今後の経済をけん引する形で、2050年には人口ピラミッドとして理想と言われている、釣り鐘型になると予想されています。
働く世代も多く、消費する世代も多い、理想的な今後の人口の見通し=理想的な今後の経済の見通しと言えます。
もう一点付け加えるとすると、米国株には配当という魅力もあります。
前述の株主第一主義と直結することですが、米国株は配当利回りが高い傾向があり、日本では30年連続で増配している企業が花王一社のみですが、アメリカではより長期間増配を続けている企業が100社近くあります。
利益は配当で株主に還元し、業績が悪化しても整理解雇をし株主の配当は極力減らさない。
一方で日本では労働用によって従業員の解雇が厳しく制限されており、業績が悪化しても整理解雇は最終手段とされています。
代わりに株主への配当を減らすことは珍しくありません。そして日本企業の配当は主に年に一回か二回であるのに対して、アメリカの企業はその多くが四半期(年四回)ごとに配当金を出します。
最後に、アメリカの国柄、人々の精神性も米国株が優良な投資先であることに深く関わっていると言って間違いないでしょう。
アメリカにはアメリカンドリームという、誰もが均等に与えられた機会を活かして、勤勉と努力によって成功を勝ち取ることができるという理念があります。
この理念から生まれるフロンティア精神を基に、新しいサービスを生み出そう、新しい事業を起こそうという意識が風土として強くあります。
そこから生み出された名だたる企業は、世界中の誰もが知っている名前となっています。
アップル、マイクロソフト、フェイスブック、アマゾン、等々、起業家が夢見るユニコーン企業のお手本がそこにはあり、そして株主第一主義のなかで多くの新しい需要が生み出され、今後も強い推進力をもって経済の発展を続けることでしょう。
※注
実は2019年の末頃から、株主第一主義から脱却する、ということがアメリカで提唱され始めました。広がる貧富の格差などを問題視し、株主だけではなく、労働者や地域社会などのすべてのステークホルダー(=利害関係者)に利益が還元されることが理想的であるという考え方の変化の兆しです。コロナを受けて、その傾向は強まっていくように思います。